インターネットの普及によって、スマホひとつさえあれば誰でも簡単に「投資」する事ができるようになりました。
しかし、実際は「投資」よりも「投機」の割合が圧倒的に多く、企業の本質的な価値を無視するように、株式相場は日々乱高下します。
「投資」では投資家全員が勝つ事ができますが、「投機」では勝者と敗者が見事に分かれてしまいます。
さらに、「投機」による高頻度な売買は、金融機関へ手数料を支払う必要があるので、その分だけ全体では必ずマイナスになります。
なのに「投資」よりも「投機」の割合いが多いのはなぜでしょうか?
毎日、売買される膨大な株の売買手数料で潤っているのは誰かというと、投資家ではなく金融機関です。
実はこのような「投機ブーム」は金融機関が投資家を搾取する為の、仕掛けなのかもしれません。
個人投資家が賢明に資産形成するのであれば、「投機」ではなく「投資」するべきです。
今日は「投資」と「投機」の違いと、なぜ個人投資家は「投資」すべきなのかについて、理由を解説します。
★この記事でわかること
☑投資と投機の違いとは
☑投資家よりも投機家が多い
☑投資家を搾取する金融機関
☑堅実に資産形成するなら長期投資
投資と投機の違い
「投資」とは、経済活動における長期的な利益成長に、自分の資金を投じる行為です。
投じた資金の価値は、企業の利益成長とともにゆるやかに上昇していきます。
いっぽう「投機」とは、短期的な価格変動の機会に着目して、安く買い・高く売る事で利ザヤを稼ぐ行為です。
短期的に大きな利益をあげれる可能性もある反面、ギャンブル的な「投機」では継続的に勝ち続ける事は困難を極めます。
当てずっぽうな「投機」によって、たとえ平均以上の成果が出ていたといても、やがては平均回帰していきます。
高まる投機熱

株式市場における売買回転率は年々増加しています。
売買回転率とは、存在する上場株式の量に対して、1年間で売買が行われた株式の量を比率で表したものです。
1950年頃のアメリカの株式市場における売買回転率は、わずか約15%ほどでした。
1年間で株式全体のたった15%分しか、持ち主が変わっていないという事です。
しかし、リーマンショックが起こった2008年には約280%まで上昇しています。
全株の持ち主が平均して2.8回も入れ替わった事になります。
アクティブ運用型の投資信託でも、平均した売買回転率は100%近くになっており、株式の平均保有期間は1年程度。
ちなみに、インデックスファンドの売買回転率はわずか7%程度です。
さらに、最近ではHFTと呼ばれるコンピュータによる高頻度取引が行われています。
HFTとは、証券取引所のコンピュータの近くにサーバーを設置して、僅かな通信のタイムラグを利用してミリ秒単位で高速に自動売買を繰り返し利ザヤを稼ぐ手法です。
このようなHFTによる高頻度取引が全体の50%程度を占めています。
また、個人投資家の中でも、1日に何回も売買を繰り返すデイトレードや数日~数週間程度で利ザヤを稼ぐスイングトレードのスタイルを取る方が多いのではないでしょうか?
一般的な個人投資家のイメージと言ったら、机の上にディスプレイを何枚も並べて、チャートを眺めるシーンをなんとなく想像されますよね。
現在の株式市場は「投資」よりも「投機」による取引の割合が圧倒的に多くなっています。
投資家を搾取する金融業界
株の基本的な価値は、企業が持つ資本にプラスして、将来得られる利益の期待値を現在価値に割り引いたものです。
なので、利益を出しつづける投資対象の価値は、長期間保有する事で上昇していく可能性が高いです。
しかし、投資家全体で見ると金融業界に差し引かれる手数料の分だけは必ずマイナスになるので、本質的な価値の上昇分を100%得る事はできません。
手数料を搾取する金融業界は、様々なニュースや刺激的な情報を投資家に発信します。
そして、投資家は自然と投資対象を頻繁に入れ替えたくなるようにコントロールされ、結果として投機的な売買を行うようになります。
このような「投機」は投資家同士の椅子取りゲームにすぎず、誰かのお金が右から左に移動するだけです。
市場で繰り広げられる投資家による「投機」行為と、金融機関が手数料で投資家を搾取する構図は、まるで、カジノ場でのプレーヤーとディーラーの関係と同じとも言えますね。
堅実に資産形成するなら「投資」
「投機」による短期的な売買によって、いつも株価は振り子のように揺れています。
この振り子の運動は不規則なもので、その動きを予想するのは極めて困難です。
継続的に利ザヤを稼ぎ続けるのは、生半可では難しいでしょう。
たとえ投機的な短期売買で、大きな利益を上げる事ができたとしても、それは一定の期間だけです。
当てずっぽうな「投機」のトータル成績は、必ず平均に回帰していきます。
そして、実際に行われる「投機」のほとんどは、人間の感情に左右されており、どちらかというと負ける方向に作用します。
さらに高頻度な短期売買は、莫大なコストを負担する事になります。
以上の理由から、個人投資家は堅実に「投資」する事をオススメします。
ある程度、分散しておけば短期的な下落で含み損を抱えたとしても、やがて平均回帰するので長期的な経済成長から、ほぼ確実な利益を得る事ができます。
そして、究極の分散投資は株式市場全体を買う事です。
銘柄の選別が難しい場合は、市場全体を丸ごと買ってしまいましょう。
全世界株式のインデックスに連動する投資信託さえ買っておけば、世界中の株式会社へ分散して投資している事と同じになります。
目先の変動を過度に恐れたり、一喜一憂することなく、確実な利益をゲットしましょう。
まとめ
「投機」で儲ける事は生半可ではありません。
実際に「投機」で継続的に儲けている投資家もいますが、ごく一部です。
しかし、最近の投資信託に関する研究では、アクティブファンドの機関投資家による「投機」による成績は、インデックスファンドの成績を平均的に上回っているという報告もあります。
アクティブを名乗りながらも、実際はほぼインデックスのような運用をする「なんちゃってアクティブファンド」がコストの分だけ平均成績を下げており、それを除くとアクティブファンドの方が平均的に良い成績を出すそうです。
短期売買の「投機」で市場を上回る事も不可能ではないですが、個人投資家にとって、かなり再現性が低い事は事実です。
エンターテイメントと思って割り切るか、自分が許容するリスクの範囲内で「投機」を行うのは問題ありませんし、私自身も少額の「投機」で遊んでいますが、全員にオススメするとすれば、皆が勝てる「投資」です。
くれぐれも投資は自己責任でお願いします!