ローリターンがハイリターンを越える?投資における平均リターンの罠。

ローリターンがハイリターンを超える?投資における平均リターンの罠投資信託

投資家なら、できるだけ高いリターンを得たいと思うものです。

そして、投資家は高いリターンを目指す為に、それなりのリスクを背負う事を覚悟します。

なぜならば、リスクが少ない投資対象ってリターンも少ないですからね。

「ハイリスク・ハイリターン」と「ローリスク・ローリターン」は世の中の常識です。

リスク許容度の高い投資家であれば、 以下のような考え方の人も多いのではないでしょうか?

リスクが高くても長期的に高いリターンが得られるものに投資するのが正解!
長期投資だから一時的な含み損なんて関係ないぜ!

しかし、「ハイリスク」は本当に「ハイリターン」なのでしょうか?

実は「ローリスク」の方が「ハイリターン」という事があるんですよ。

マネ夫
マネ夫

リターンの高さを表す年率リターンの平均には罠があって、「ローリスク・ローリターン」が長期的に「ハイリスク・ハイリターン」を上回る事もあるよ!

☑リスクとは
☑リスクとリターンの関係
☑ローリターンがハイリターンを上回る事がある理由
☑年率リターンの罠
☑算術平均と幾何平均の違い
スポンサーリンク

リスクとは

リスクとは値動きの幅の大きさ

まず、「リスク」についてですが、一般的にリスクって、「損してしまう危険性」のようなものをイメージしますよね?

実際の投資におけるリスクの考え方は、「値動きの幅の大きさ」の事を表します。

「リスクが大きい」というのは値動きの幅が大きくて、短期的に損する可能性も大きいけど、得する可能性も大きい状態を指します。

つまり、損する可能性だけじゃなくて、得する可能性も含めて「リスク」と呼びます。

そして、リターンが高い投資対象は、取引における需要と供給のバランスが激しく変動するので、リスクも高くなるのが当たり前ですね。

詳しいリスクの考え方は、以下の記事でも紹介しているのでご参考に。

スポンサーリンク

ローリターンがハイリターンを上回る事がある理由

冒頭で述べた、「ローリスク・ローリターン」が「ハイリスク・ハイリターン」を上回るような事がなぜ起こるのでしょうか?

「ローリターンがハイリターンを上回る」って文章自体が既に矛盾してますよね。

しかし、本当にそうなる事があります。

例えば、以下の表を見てください。

年度年率リターン資産額の推移
1年目-3.0%¥970,000
2年目-15.0%¥824,500
3年目12.0%¥923,440
4年目-6.0%¥868,034
5年目20.0%¥1,041,640
6年目-9.0%¥947,893
7年目14.0%¥1,080,598
8年目12.0%¥1,210,269
9年目-3.0%¥1,173,961
10年目16.0%¥1,361,795
平均年率リターン3.8%

少しハイリスクな株式投資などのイメージで年率リターンと、投資元本100万円を10年間投資したらどうなるかを表にしました。

年度によって、上がったり下がったりしながら、10年間の年率リターンを平均すると3.8%となります。

そして、最初に投資した100万円の元本は、10年後に約136万円になります。

次に、以下の表を見てください。

年度年率リターン資産額の推移
1年目5.0%¥1,050,000
2年目4.0%¥1,092,000
3年目3.0%¥1,124,760
4年目4.0%¥1,169,750
5年目4.0%¥1,216,540
6年目3.0%¥1,253,037
7年目2.0%¥1,278,097
8年目5.0%¥1,342,002
9年目1.0%¥1,355,422
10年目5.0%¥1,423,193
平均年率リターン3.6%

各年度毎の年率リターンのバラつきを少なくし、リスクを抑えています。

そして、10年間の平均年率リターンは3.6%です。

先ほどの「ハイリスク・ハイリターン」の表は平均年率リターンが3.8%だったので、リターンは負けていますがリスクは少なめですね。

あれっ??

「ローリスク・ローリターン」の資産額の推移を見ると、10年目には約142万円になっています。

さっきの、「ハイリスク・ハイリターン」は136万円だったので、「ローリスク・ローリターン」の方が資産が増えていますよね。

なぜ、平均年率リターンが負けているのに、資産額が逆転勝ちするような事が起こるのでしょうか?

それには「年率リターン」を平均する計算方法に罠があります。

スポンサーリンク

年率リターンの罠

普通は「平均」というと、単純に値を合計して、足した値の個数で割って結果を求めますよね。

この平均の求め方を「算術平均」と呼びます。

しかし、長期的な投資では「算術平均」で年率リターンの平均を考えるのは適切ではないんですよね。

通常、長期投資するのであれば、利益確定せずに何年も投資対象を保有しつづけます。

もしくは、利益確定した場合でも、再投資する形で複利効果を活かした資産の増加を狙いますよね。

このような場合の平均的な年率リターンを「算術平均」で考えるのは誤りなんです。

それは、投資元本が複利で増えていくからなんです。

もしも、年度の始めに投資額が100万円になるよう毎年調整し、「利益を再投資しない」また、「損失が出れば元本を追加する」ような場合は「算術平均」で平均リターンを求めてもOKです。

しかし、そんな投資のやり方、あんまりしないですよね?

長期投資における正しい年率リターンは「幾何平均(キカヘイキン)」で求めるのが適切です。

スポンサーリンク

幾何平均とは?

幾何平均とは、値を掛け合わせて、掛けた項数の累乗根を求める方法です。

1,2,3,4,5の平均を求めてみましょう。

算術平均を求める場合は、(1+2+3+4+5)÷5=3と求めますが、

幾何平均を求める場合は、√(1×2×3×4×5)=2.605171085と求めます。

幾何平均で求めた値は、算術平均で求めた値を超える事はありません。

そして、平均する数値のバラつきが大きければ、幾何平均で求める平均値はより小さくなります。

つまり、リスクが大きく値動きの幅が大きい場合の真の平均リターンというのは小さくなる傾向があるのですね。

投資における年率リターンのように、掛算で変化していく値の平均を求める場合は、幾何平均で求めましょう。

ちなみに、前述の「ローリスク・ローリターン」と「ハイリスク・ハイリターン」の表の例で、年率リターンを算術平均と幾何平均でそれぞれ求めると、以下のようになります。

ハイリスク・ハイリターンの例
平均年率リターン(算術平均)3.8%
平均年率リターン(幾何平均)3.14%
ローリスク・ローリターンの例
平均年率リターン(算術平均)3.6%
平均年率リターン(幾何平均)3.59%

算術平均ではハイリスク・ハイリターンの勝ちですが、幾何平均を比べると、ローリスク・ローリターンの勝ちですね。

スポンサーリンク

まとめ

投資対象の平均年率リターンを調べる時は、その数値が、算術平均で求められた結果なのか、幾何平均で求められた結果なのかを確認するようにしましょう。

証券会社などが掲載している投資対象毎の平均年率リターンなどは、だいたい幾何平均で求められていますが、たまに算術平均で掲載されている場合もあります。

また、雑誌やネット記事に掲載されている平均年率リターンの値は、算術平均で求めているケースが結構多いです。

どちらの方法で平均を求めているか、しっかりと確認し、幾何平均で考えるようにしましょう。

そして、算術平均で求めた平均値どうしが同じだとしても、幾何平均で計算すると、値動きのバラつきが小さくてリスクが低い方が、高いリターンの値になります。

ハイリターンを求めるのも良いですが、投資家ならリスク管理をサボらないようにしましょう!